私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「風が強く吹いている」

2009-11-09 21:14:12 | 映画(か行)

2009年度作品。日本映画。
致命的な故障でエリート・ランナーへの道を諦めたハイジと、事件を起こし競技から遠ざかった天才走者カケル。ハイジはカケルこそが、密かに温めていた計画の切り札だと確信、壮大な夢への第一歩を踏み出す。それは、寛政大学陸上競技部の8人と、学生長距離会最大の華<箱根駅伝>出場を目指すことだった。
監督はこれが初監督作となる脚本家の大森寿美男。
出演は小出恵介、林遣都 ら。



話のつくりとしては、幾分粗いかな、と見ていて思った。

特に前半部などはそう感じる。
たとえばカケルが寮に入る流れもずいぶん強引だと思ったし、箱根駅伝を走るって宣言する辺りも唐突ではないだろうか。
さらに言うなら、ライバルの登場も、典型的な悪役の描き方すぎて、逆にピンと来ない。
恋愛要素だって、あれならばなくてもいいんではないか、と思う。

そういった部分は原作の方でうまくフォローしているのかもしれない。
けれど、映画はどうも展開を急ぎすぎているように見えてならなかった。


また俳優の演技も、いくらか引っかかる。
セリフのせいもあるのか、全員の演技が芝居がかって見えて、少し入り込めない。

でも俳優たちがこの映画のため、相当練習したのだろうな、というのは見ているだけでも伝わってくる。彼らの走るフォームが本当にきれいだからだ。
そういった俳優の努力が画面から伝わってくるってのはなかなか好ましい。
ちょっとした動きにリアリティがあるのは、スポーツものにとって、非常に大事な要素だと僕は思う。


そんな俳優たちの努力があるからか、後半の箱根駅伝の場面は臨場感が出ている。
彼らの走る姿はまさに一所懸命そのもので、走っている選手の思いや、応援する仲間たちの思いが画面越しから伝わってくるかのようだ。

それゆえにいくつかのシーンはかなり熱く、同時にさわやかなのである。
たとえば、一区の王子の部分や、10区のハイジのシーンは感動的だし、9区のカケルのシーンは、結果が何となく想像ついても興奮してしまう。


はっきり言って、欠点は多い映画だとは思うのだが、全体的に内容はさわやかで、映画を見終わった後の後味は良い。
まさに良質の青春映画といったところだ。

評価:★★★★(満点は★★★★★)



出演者の関連作品感想
・小出恵介出演作
 「キサラギ」
 「きみにしか聞こえない」
 「初恋」(2006)

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